モダニズムな会館と歴史ある庭との融合 東京六本木にて

麻布方面から六本木へ、途中鳥居坂という急坂を登ると、国際文化会館の入り口が見えてきます。石組みや敷地の塀からして古そうな佇まい。

 

ここは三菱の4代目当主、岩崎小彌太邸であった場所に、昭和20年の空襲で被害を受け、その後昭和30年に前川國男、坂倉準三、吉村順三の建築家により、現在の国際文化会館がつくられました。

 

東京は坂の街、そして緑豊かな屋敷町が多く見られますが、このような一般の方が立ち入れる場所は、それ程多くはないでしょう。

 

 

何度か増築と修繕は行われているものの、60年以上前とは思えぬフォルム。高さも少し低いことから、最近の公共建物には感じにくい、ヒューマンスケールの会館です。鉄筋コンクリートのスパンに木製サッシが組み込まれています。扉は意外と軽く動作します。

 

 

庭の回廊。芝一面を遮るかのごとく、小石洗い出しの歩道が実にマッチします。歩きやすく、美しい曲線と巾です。

 

 

敷地の高いところを活かして水源があります。大小の石を組み合わせ、淀み、急流、小川、滝を繰り返し、池に注がれます。目と耳で楽しめる、水の演出です。

 

 

滝の先には鯉が緩やかに泳いでいる池へ。レストランが、まるで水辺に浮かんでいるようです。

 

 

敷地の一番奥。このような場所でも、きちっと掃除が行き届いています。

 

 

写真の右奥には東京タワー、左手前には森ビルが見えます。道路との高低差があることから、周辺の車の音はあまり聞こえず、ここが東京のど真ん中にいることを忘れさせます。

 

 

入った正面にあるロビー。正面の芝はB1階のフロアの屋根です。このルーフバルコニーがあることで、ロビーから見える景色は、庭との一体感が生まれています。

 

六本木で見つけた、長居したくなる、心地よい空間でした。

 

(2018年9月14日)

 

MENU