フィンランド・ヘルシンキの中心部、カンピ地区は、地下鉄駅やショッピングモール、長距離バスターミナルが集まるターミナルです。たくさんの人が行きかう中に、突如褐色の木造が異彩を放って、地面に「刺さって」います。
窓が一つもない逆円錐のような形状は、まず何のためにあるのか、そして何なのか、情報がないと、近寄ることも躊躇しそうな雰囲気。
この建物、ヘルシンキ市が建てた、教会なのです。題して、カンピ礼拝堂【静寂の教会】です。
内部と外部とは、同じ木による仕上げでも、構造は別になっています。内部は丁寧に一枚一枚組み上げた、たとえるならば競輪のバンクのようになっていることから、イスに座って、ほんの小さな音を立てると、らせん状にその音が上部に駆け上がっていきます。
間違いなく、静かにしたくなる空間です。興味深いのが、そうとは言え写真OKのところ。フラッシュさえたかなければ、他の方に邪魔にならない限り、写真撮影は認められています。こんなスタンドでさえ、フォルムを合わせてあるのが感心してしまいます。
オレンジの外観と、フィンランドの夏空はぴったり。経年変化でどのような表情になるのか、とても楽しみです。