約人口4万人の地方都市、山形・寒河江市に、50年前につくられたシンボリックな市役所があります。時間は経過しているものの、地から少し浮いたように見える建物は、古さを力に変えて生き続けています。1697年に建築家・黒川紀章によってつくられた、寒河江市役所です。
内部には大きな吹き抜けがあり、外観とは相まって柔らかい光が降り注ぎます。そしてその中心には、この生命体に鼓動を与え続ける心臓の如く、シンボリックな照明が見られます。岡本太郎作の “生誕” という作品です。
無機質なガラスとアルミ、コンクリートに囲まれていることで、かえって生き生きと光輝いているようです。
照明の下には、当時関わった方や企業の銘板が。岡本太郎だけがサインというのも興味あるポイントです。
吹き抜けを上層階より見下ろした様子。床は赤、黒、白で作られた長方形の中に三角の模様がつけられたタイルを張り合わせています。解説を読むと、どの場所にも同じ組み合わせがないとのこと。左官職人さんのご苦労が思い浮かびますが、完成の折、この場所から見た感動や達成感は如何程だったことでしょう。
50年間多くの来庁者が手にしたことでしょう。この取手も、岡本太郎作。鋭角に見える割には、掴みやすいデザインでした。
(2018年9月6日)