2018年9月15日から11月25日の期間、神奈川県葉山町にある県立近代美術館にて、「アルヴァアアルト展」が開催されています。フィンランドの建築家、アルヴァアアルトを特集した展覧会です。
海沿いのロケーションを活かした美術館は、建物や外構そのものにも興味が湧くつくりでした。天から降り注ぐ光は、彼の代表作、ヴィープリの図書館で感じられた爽快感と、少しシンクロします。
展示室は撮影できませんが、ビンテージの家具の展示に加えて、貴重な原画(ドローイング)や模型の数々を見ることができ、設計時の息吹を感じることができる構成になっています。
その中でも、彼が設計した家具に実際に触れることができるコーナー、アアルトルーム。ここは撮影可となっていました。
正面には大きなアアルトの写真がお出迎え。多分ここは自邸をアトリエにしていた頃の写真だと思います。その期間が約10年間ですので、今から70~80年前の姿でしょうか。
ここが自邸のアトリエだった場所。現在の様子です。一番奥の位置が、彼の定位置だった場所。家具の置き方が写真とは90°向きが逆ですが、カーテンやヒーターの位置などから、この場所でのポートレートではないでしょうか。
ちょうど男性が眺めているのが、彼の代表作「ヴィープリの図書館」
この図書館の講堂のために設計されたのが、スツール60というシンプルでスタッキング(積み重ね)できる椅子。誕生して80年以上経った今でも新製品が作られています。
丸い座面と3本の脚でできた椅子は、生産性やコスト、使い勝手など考慮された、機能美のあふれた椅子です。様々な色や座面など、変化に富んだ兄弟モデルが並べてあります。
これが現在の講堂。建築当時はフィンランド第二の都市でしたが、現在はロシア領になっています。他国になったことでフィンランドとして容易に修繕することが出来ず、長い間朽ちていた図書館は、数年前ようやくフィンランドとロシア協働により蘇りました。
波打つ天井も見事復活。このデザインも、細長い講堂で、前で話している声が後ろまで届くようにと、音響効果を考えてのものでした。
ここを訪れたのは2年前の秋、曇天の日でしたが、それがかえって均一な光が全ての窓から入り込み、心地よい空間でした。
葉山で開催されている「アルヴァアアルト展」は、本国に保管されている貴重な資料を身近に目にすることができる、よい展示会でした。
2018年10月4日