ヨドコウ迎賓館(その2)~フランク・ロイド・ライト

前回に引きつづき、ヨドコウ迎賓館のご紹介です。内部の仕上げ材は全てマホガニーという高級木材。日本よりも暖かな気候区でとれる木材ですので、東南アジアからの材でしょうか。一説にはライトは節があまり好まなかったとのこと。マホガニーは重厚感と素朴さを兼ね備えた木材です。

 

今回の改修で大きな発見があった部分の一つが、畳の下の材料までマホガニー板が張られていたこと、です。マホガニー材の使用は徹底されていたのでしょう。

 

 

畳が敷かれた小間(使用人室)の様子。洋間の窓枠やシンプルなシェードの照明、不思議とマッチしています。

 

洗面台の様子。すりガラスなのは、脱衣室も兼ねているから。簡易的なカーテンが手前にあります。水栓の前に立つと、小さな鏡と照明が縦に並んでいます。とても綺麗な配置でした。

 

浴室の様子。内観とマッチした小さなモザイクタイル。浴槽が二重になっています。

 

 

3階の廊下です。規則正しく並んだ窓から差し込む光が綺麗でした。青く見える部分は網戸で、細い銅線で出来たネットで出来ています。そしてここには隠された工夫があります。

 

手前から奥に向かって、この廊下は少し上っています。そのことに違和感を覚えないために、手前の網戸の下枠は廊下に平行に組まれています。外側のサッシは水平です。

 

 

拡大した部分。手前が網戸、奥がサッシ。この網戸下枠の角度で廊下が上がっています。ライトが基本設計の際にここまで指示していたとは考えられず、弟子による演出だったのかもしれません。

 

 

この丁番は建設当時のもの。アメリカ製です。その後、ネジが壊れた部分はプラスのネジが付いていたそうです。今回の改修では、当時のようにマイナスネジに交換されたそうです。95年前の金物メーカーが現存していることにも感心しました。

 

 

再び屋上の様子。アップダウンがあり有機的な囲いのある屋上は、以前訪れたスペイン・バルセロナにあるガウディ作の集合住宅、カーサミラの屋上と似ていました。

 

 

自然と同化するように作られた竹の土留め。建物は鉄筋コンクリート造ですが、大谷石やマホガニー材をはじめ自然のものが多く、とても有機的な空間でした。そんな建物とこの石組みや竹の土留めはとてもマッチするデザインでした。

 

2019年3月4日

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