2019年2月から4月にかけて行った「わたしサイズへのリノベーション」
この度1ヶ月点検を兼ねてお邪魔させて頂いた際に、住まいづくりの経緯などをお伺いしました。
この建物は築42年。何度か手を入れられてこの地に残された運命の建物ですが、オーナーであるNさんが前オーナーから購入された際、現在の赤い車が止まっている上には増築された「はなれ部屋」がありました。まずはその部分を解体する(=減築する)作業から取り掛かることに。
住文舎、そして前身の木の香の家から数えても、初めての減築という作業。なぜ「そこにあるもの」を減らすのか? そこにはNさんなりのこだわりが潜んでいました。
ブログタイトルを考えたとき、減らすということが重要なキーワードになると思い「わたしサイズへのリノベーション」とつけさせて頂きました。
本来ならば、わたしサイズ、というのは、ご家族一人ひとりにとって差があり、生きている時間の長さと相まって、もっとミニマムになっていくと思いますが、そういう意味でも、サイズ自体が進化している、と言えるかもしれません。少なくともNさんにとっては、新生活のスタート段階で「減築」をお考えになられたことは興味があります。
△リノベーション前の外観
Q:
この度はご入居おめでとうございます。今日は、初めてお会いした際から工事中に至る会話の中から、いくつかお伺いできればと思います。まず最初に、この場所(地域)限定でお住まいを探しておられたそうですが。
A(奥様):
主人は宮城県外なのですが、私が生まれ育った場所がこの街でした。厳密には生まれたのは隣町ですが、それにしても近いエリアです。小さい頃から借家などに住み、私が高校2年生の時、今の実家で初めて一軒家(マイホーム)に住みました。この街はたくさんの思い出があり、思い入れもあります。
社会人になり、結婚しても実家から出ることはなかったですね。一番大きな理由は、高2の時、一軒家に住んだ時から、念願だった犬を飼っていたことです。2匹飼っていたのですが、それぞれ15年、16年生きて、同じ年に亡くなりました。ある意味、犬の面倒を見たいことから実家から離れなかったとも言えますね。
愛犬が亡くなり、子どもたちも大きくなってきたので、それではいよいよ実家を出ようか、と考えたのが住まいづくりのスタートです。(Nさんの家と奥様のご実家との距離は、数百メートルの距離)
Q:
住文舎との出会いについてお聞かせいただけますか。
A(ご主人):
まだ土地は決まっていない段階から、モデルハウスなども見ました。妻がこの街限定で住みたいとの希望でしたが、地の利もあってなかなか売地がでません。土地を紹介してもらいたい、という意味でもモデルハウスを回りました。しかしどこかよそ行きの感はあり、例えばディスプレイの棚などは我が家に要らないな、と考えることで「本当に必要なものが揃った家」を求めるようになったのだと思います。
2018年の6月か7月だったと思いますが、この家ではない中古物件が見つかりました。この物件を購入し、更地にした上で新築を建てると予算オーバーになる。そのことと同時に、例えば平屋で建てるならどの会社にするか、と検討していたとき、すまいポート仙台泉に相談したことがあります。その際、住文舎がいくつかのハウスメーカーの中で候補にあがりました。
ホームページや頂いた資料などを見ていたとき、新築だけではなく、リフォームやリノベーションという選択もあるのだな、と考えるようになりました。
そう考えていた折、この物件に出会うことが出来ました。
Q:
最初に住文舎にお越しいただいたのが、9月だったと記憶していますが、ご主人おひとりだったと思います。いつも打ち合わせに使っている部屋のソファーに座り、「まるで友人の家に来た気がします」とお話されていたのが印象的でした。
A(ご主人):
いろいろとモデルハウスを見ると、我が家には要らないな、と思えるものが多かったです。ソファーに座った際、落ち着くだけではなく、何となく家っぽいというか、長居しても飽きないというか、そんな印象がありました。
△住文舎リビングスペースにあるソファー
Q:当初は平屋での住まいをお考えになられていたとのことですが。
A(ご主人):
平屋のモデルハウスがあるハウスメーカーなども行ってみました。私はどちらかというと北欧よりもアメリカの方が好きで、あるモデルハウスでは、週末のBBQなどが似合う家もありました。活発にアウトドアを楽しむ暮らしの印象です。
しかし私が平屋を求めていたのは、子どもたちが巣立った後、その先を考えて、長く飽きないシンプルな家、ということです。
10年経って生活環境が変化しても「良い」と思える家。新しいものを追い求めても意味がない。手入れして長く使えるものを手に入れたいと思っています。
最初は北欧の印象がよく分かりませんでした。北欧の照明やデザインなど、目にすることはあっても、その根底には何があるんだろう、と。
住文舎のホームページのどこかを見ていた際、ある発見がありました。季節によっては、家で過ごす時間が長い。そのためにシンプルで飽きのこない、永く愛されるデザインが生まれる。そして思い入れのあるものを直しながら使っている。これが分かったとき、腑に落ちました。
A(奥様):
主人は何でも「これでいい」では買わない人です。「これがいい」とならないと(笑)。 先ほどのソファーに座った時の様子がわかります。多分、全体を見渡し、何となくのイメージが良かったんだと思います。
Q:
今回2つの「減」をしました。一つは車庫上のはなれ部屋を「減築」。もうひとつは最初にプランでご提案させて頂いた食品庫を、付け加えない(減)
A(ご主人):
はなれ部屋は、私たちの生活では不要な空間でした。あると無駄となり有効には使えません。物が増える原因にもなると感じました。はなれを支える鉄骨の柱を無くし、車が2台止められるスペースの方が優先かと。
A(奥様):
食品庫を付け加えない希望は私からでした。空間を作ると、不要な食品まで買ってしまう。幸いにも近所にスーパーがあり、必要なときに購入できますし。
△キッチンは当初より30㎝南に移動したものの、プランの段階で検討した食品庫を付け加えなかったことでリビング・ダイニングは十分の広さを確保 (造作の背面収納はあり) 中古物件の段階で最初に中に入った印象が「リビングダイニングが広い」ということもあり、そのイメージを崩さないような間取りになっています。
Q:
お住まいになり1ヶ月が経ちますが、遊びに来られたご友人の反応はいかがですか。
A(奥様):
人によって見るポイントが違いますね。女性が多いので、カーテンや照明などのインテリアから、木(パイン)の床、塗り壁、木のドアなど様々な点で感心されます。ある方は「窓枠まで木なんだねぇ」と言っていました。
また、友人のお父さんには「テーブルは丸いのが一番良いんだよ」と言われました。みんなの顔も見えますしね。
△木で出来ている窓枠
これからも大事にお住まいください。本日は貴重なお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。
(奥様)主人は子どもたちが巣立ったら、2階も取ってしまって平屋にしようか、とも言っています(笑)
(2019年6月1日 1ヶ月点検にてインタビュー)