仙台市青葉区川平にある住文舎。建物の西側には一本の木があります。この木はシュガーメープルといって、和名は「サトウカエデ」 メープルシロップを採取する木です。
紅葉は1日での寒暖の差が大きい程、紅くなると言われていますが、仙台での10月から11月も、最近は雨や風の日も多くなり、そう長くは紅葉を楽しめなくなってきた気がします。1年で僅かな期間ですが、身近な場所で紅葉を楽しむことができます。
もともとこの場所に木を植えたくなったのには理由があり、建物と方位とがずれていることから、夏場は緑のオーニングをかけても、一番日照がきつい時間、斜めからの日差しを遮ることができませんでした。
それならば、木陰を作れないだろうか、と思案し、数年前に一本の木を植えました。それがこのシュガーメープルです。
私にとって、シュガーメープルは思い入れのある木。カナダの東海岸の森や街中に至るまで、この木をたくさん見ることができます。
その意味では現地では特別な木ではないのですが、今から20年以上前に、ワーキングホリデーで1年間滞在していた、ケベック州モントリオールの街の秋を思い出します。
シュガーメープルは紅葉の時期になると、不思議と深く深呼吸したくなるような、葉のにおい、が漂います。この香りが実に心地よく、とてもリラックスする瞬間でした。
カナダ東海岸は、通年観光シーズンである西海岸のバンクーバーやロッキー山脈の町々と違い、日本からの観光客が来る季節は、殆どが秋になります。パンフレットには紅葉が広がっている写真を目にしたことがあるかもしれませんが、この景色が見られるのが、シュガーメープルの森、秋の東海岸です。
紅葉シーズンはモントリオール、およびその周辺の山では、9月中旬から10月上旬がピーク、ここをめがけて沢山の日本人ツアーが「弾丸で」やってきます。
通年旅行している日本と違い、スポットの観光シーズンということで、観光バスが足りません。そこで、アメリカからもバス会社が応援にやってくる、それはそれでとても活気のある季節です。
しかしながら、不思議なことに天気に恵まれないグループ、紅葉にはまだ早い、あるいは既に枯れてしまったetc、様々なツアーがありました。
たまたまご縁があり、私もこの1ヶ月、現地でガイドをする機会がありました。モントリオールに来たのが夏でしたので、ガイドのアルバイトをする、となった以上、必死に観光地の情報を覚えました。
そのわずかな期間で、空港からホテルまでの道中のみ、あるいは1日ツアーなど、仕事の内容は様々でしたが、延べ人数でみると、約1,000名の観光客とお会いしたことになります。
アメリカからやって来た、道の不慣れなドライバーに、わずか2か月前に来たばかりの私が、あっちやそっち、と指図し観光地を巡り、時間厳守で空港や駅やホテルにツアー客を送り届ける。今から考えると、よくもまぁそんなことをやっていたなと思えますが、とても充実した時間でした。
シュガーメープル、遠い記憶をよみがえらせてくれる木です。
20211109 仙台発イチゴイチエのいえづくり