2022年を迎えました。また新たな年が始まりました。
こちらは奥会津、只見線会津川口という終着駅から奥に入った風景。雪深く切り妻の大屋根に出会い、日本らしい風景、と、つい車をとめてカメラを向けてしまいました。
いわゆる日本の田舎風景、東北地方の幹線から入った山懐には、このような景色が、どこにでも広がっていることでしょう。その一方で、高齢化、若者の担い手不足、人口流出、空き家や動物被害、など、その地域が抱える問題は、人の「まちぐらし」が進めば進むほど、加速していきます。
只見線は福島県の会津若松から新潟県の小出まで結ぶJR東日本のローカル線。この線単体でみると赤字路線です。もし地方の私鉄が運賃を中心に経営を考えていたならば、既に廃線になっていたことでしょう。JR東日本では、ドル箱としての首都圏で収益をあげていることで、このような地方でも、かろうじて線路が保たれてきたのです。
ところが、昨今のコロナ禍や、総人口の減少も相まって、この設計図が崩れようとしています。リモートの普及により人は必ずしも都心に向かわないことで、交通インフラの収益にも影響が出ています。アフターコロナの世の中でも、収益面としてはコロナ前には戻らないことでしょう。
そうなると、只見線のような赤字をかかえる地方路線はあえなく廃線となるのでしょうか。
実は、今年は只見線にとって記念すべき年になります。震災が起きた平成23年の夏、この地方を襲った豪雨災害で、只見線の一部区間、約30km弱が現在でも不通になっています。この区間を復旧せずに廃線にするかどうか、議論されたのち、画期的な結論が出されました。
それは「線路や鉄道施設は福島県をはじめとする沿線自治体が所有し、鉄道運行はJRが行う」という分離方式です。この方法は、赤字を抱えている地方ローカル線の行く末を占う大変重要な実例になります。豪雨災害を受けて11年、ようやくこの秋、不通区間が開通します。
「都市と田舎の共存」「利益の再分配」「ふるさと納税」
日本全体を見渡した上での持続可能は方策とは?
沿線の人口が減り、道路も整備されたことで、鉄道に乗らなくなり、やがて廃線。この図式ではない、今までなかった得策を、そろそろ考える時期に日本はきています。
20210104 仙台発イチゴイチエのいえづくり