会津のお菓子を求めて

先日、「是山(これやま)」という会津若松のお菓子を頂く機会がありました。柿あんで包まれた、とても口当たりのよいお菓子でしたが、名前も含め、ちょっと興味を持ってしまい、せっかくなのでお店を訪ねることに。

 

 

長門屋というお菓子屋さんです。ここは会津若松市内のはずれ。昔は前の道は街道であったため、交通の往来が激しかったそうですが、現在は少しのんびりとした雰囲気です。

 

是山、とは禅語の「山是山」から。山はそこにあるように、山は山の如く、と簡単な言葉ですが、意味深な内容です。

 

お店にお伺いした際は、ちょうど他のお客さんがおられず、店の方といろいろなお話ができました。その中の一つ。この建物は100年以上も前に建てられて、大事に直しながら使っておられるそうです。

 

100年と言っても、ただ何もせず維持できるわけではなく、昔からお世話になっている大工さんより、「一年、最低5人工、できれば10人工、手をかけて」と言われているそうです。つまり毎年、大工さん1人で5日、できれば10日くらいのメンテを掛け続けていかないと、劣化が進み、いざ補修が必要になった際は手遅れになる、ということが、言い継がれている、とのこと。

 

生活費からそのメンテ費を工面するのは大変。維持するためには、最初から別の財布に分けて、毎年手をかけていけるように心がけておられるようです。

 

「周りの様子は、この50年で一気に変わってしまったが、お菓子屋さんとして維持できる範囲で、この建物を残していきたい」 そのことを、会津の街並みの、においを残す、と表現されていました。

 

会津若松は幸いなことに、空襲で焼け野原にはならなかった町。そのために、街並みの歴史が継承されてきました。とはいえ、時代の変遷とともに、店じまいや空き地も多く、その中でも会津に生まれ育った覚悟を持ってお仕事をされていました。

 

良いお菓子の前に、良い作り手が居てこそ。 お菓子の銘そのもののお店でした。

 

20220605 仙台発イチゴイチエのいえづくり

 

 

 

 

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