[ヌックぬっくこんにちは] パリの街角で見た階段が原風景です。

ヌックぬっくこんにちは、の家づくり 2階へつづく階段の様子です。今回オーナーのIさんとの打ち合わせで、階段のイメージを考えていた際、「階段の断面が見えるように」というご希望がありました。

 

つまり、上がり降りする機能としての階段に加えて、階段そのものが、シンボリックにならないか、という内容でしたが、木でつくる階段としては、どうしてもできないことがありました。

 

仕上げの話になった際に、モールテックスというモルタルと樹脂で出来た材料で仕上げることになり、それでは、と思いついたのが、かつて旅行したパリの小さな雑貨屋さんで見た階段でした。

 

パリ市街地は日本よりも地価が高いためか、間口が狭く、小さな商店が多い印象でした。それが理由かどうかわかりませんが、通りには螺旋階段が多く、最小限の空間で上がり降りできる工夫が見られました。

 

たまたま入った雑貨屋さんも、店が小さく、ドン・キホーテの小型版のような佇まいでしたが、地下に降りる階段が、とにかくぎりぎりの踏面にも関わらず、角度を微妙に調整しながら作ってある廻り階段でした。

 

温めていた、あの原風景の階段をイメージしながら、今回は一から階段を作ることにしました。

 

 

まずは詳細図を作成し、現場あわせしにくいパーツを、山形の鮭川木工さんに依頼し、加工してもらいました。この合板が下地になります。

 

 

階段を組んでいるところ。この階段の下には、柱がありません。まるで宙に浮いているような階段にするために、一番上と中間部分に、奥の壁から突き出た構造材に乗せ、固定しています。実際に組みながら、弱いところはさらに補強しながらできる点は、合板下地故の強みです。

 

 

階段の裏も見せどころの一つです。鉛筆の手描きで描いたように、スッと床に刺さりました。

 

 

さて、ここからは仕上げの様子。クレア工業さんによるモールテックスの仕上げです。現在で4工程目、素早く、丁寧に仕上げて頂きました。

 

 

指定の色番に対して、混ぜる割合が決まっていることから、小単位で材料を作ってきます。

 

 

光の当たり具合で模様を確認しながら、コテで微調整して仕上げます。乾いたらサンダーで磨き、完成となります。あの時見たパリの雑貨屋と同じく、一点物の階段です。

 

20220908

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