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“2つの関係” 床と巾木の関係


vol.6
家の中には構成する様々な建築材料(仕上げ材)がありますが、最近少し様子が変わってきたのが、床と壁の交わる部分についている「巾木」といわれるパーツです。高さはおおよそ6cm、厚みは7mm~10mmのものが多いですが、最近は高さが3cmくらいになったり、つけなかったりするお宅も見受けられるようになりました。
SNSを見ていても、付け方が汚かったり、コーナーがぶつかって割れたり、隙間があいてきたりと、様々コメントが見られますし、時にストレスの温床となる巾木、そもそも巾木とは何でついているのか、説明します。
上の絵は少し大げさに描いていますが、巾木の最も大きな役目として、隙間埋め、がります。昔の大工さんは、内壁などの障害がない段階で、先に床を貼り、その後、壁や天井などを施工する職人さんがおられましたが、最近は、床の養生や傷対策が重要になっていますので、壁や天井の石膏ボードを貼り、最後に床を貼る職人さん、ハウスメーカーが多いです。
床を先に貼る場合、床の上に壁の石膏ボードをドンと乗せることができるので、極力、床と壁とを隙間を開けずに施工することが可能ですが、床が後の場合は、床が入る隙間を開けておく必要があります。
特に無垢材のフローリングの場合、一本々々のそりやねじれなどの細かい癖があり、それらを調整しながら貼っていきますので、壁との取り合い部分は少し隙間をあけ、貼る際に調整できるようにしています。
そして、この巾木があることで、将来もし床を張り替え、あるいは補修することが出た場合、比較的綺麗にはがすことも可能です。
欧米では靴の文化から、傷つきにくいようなオークのような硬い床だったり、巾木ももっと背の高くデコレーションされた巾木を見ることができます。多分つま先で壁が汚れないようにと、キックボードの役目もあるのかもしれません。
巾木があることで埃がたまったり、家具や冷蔵庫が入らなかったりと、やたらと邪魔者扱いされる場面もありますが、建築材料にはそれなりの役目もありますので、どこかに覚えていて頂ければと思います。
ちなみに巾木は大工さんの一番最後に行う造作作業です。巾木をつけ始めると、まもなく終わりが見える時期で、言い換えると、次の工程が迫っている時期でもあります。あまり時間の余裕がない時期に作業することもあり、結構、職人さんの腕が見られる場所でもあります。そのような目線で、あたらめてご自宅の巾木を眺めていただければと思います。
2025.12.14
#現場日記
