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仙台発イチゴイチエのいえづくり
“2つの関係” 「結」と「界」の関係


vol.11
和室において、踏み込む場所には仕切りとしての襖(建具)があり、その下には敷居、上には鴨居があります。畳を敷く以上、敷居・鴨居は必要不可欠。昔は敷居を踏まないように、と教えられましたが、現在のフローリングの住まいでは、バリアフリーが求められる時代、つまづく原因となる敷居も、ほとんど見ることがなくなりました。
敷居含め、人が通る、あるいはまたぐ場所には、結界 という考え方があります。俗世から神域へつながる場所、あるいは自分から見て他人を敬う意味、など、様々な考え方がありますが、何か目の前にあるものに対して、横に線を引き、その関係性を考える時に使われることは共通しているようです。
横に線を引くことは「界」 そしてそこに出来た2つのエリアの関係性を考えることが「結」と考えられますが、この結界の考え方は、日本人にとって身近なお箸にも見られます。食文化において、箸は食を前にすると横に置きますが、欧米文化においては左右に置くのが一般的です。
昔はしつけと住まいが、まるで同居しているように、普通にそこにあったわけですが、今では、家も人間関係もバリアフリー、つまづく要素が極端に少なくなりました。
しかしながら、見渡せば、神社の鳥居やしめ縄、あるいはつい低頭したくなる空間や人に対して、その目の前には結界がある、と感じられることが重要です。
少しだけでもバリアフリーではない暮らし、そして結界を感じられる瞬間、を楽しむ心の余裕を持ちたいものです。
2025.12.25
#デザインディテール
