外観デザイン
家の外観、
それは住まい手のアイデンティティー
家の外観は不思議なもので、一旦家に入ってしまうとほとんど見えなくなるものです。また住み慣れると日常の風景になじんでしまい、いったいわが家の屋根の色は何色だったか?と、建てる際はあれだけ悩んだ部分も時間とともに忘れてしまいます。だからといって何でもいいかというと、家の外観ははやり廃りで容易に変えられない部分ですので、そういうわけではありません。
外観とは、そこに住む方の「住まい方」「考え方」「くらし方」を地域に示すアイデンティティーそのもの。国旗の色やデザインが、その国の最も重要にとらえている根幹を示すのと同じです。自然と向き合い、周りの人々や自然と協調しつつ謙虚にくらしていく。北欧と日本のくらしはもともと似ている部分が多いです。そのような住まい手の姿を表している大事な要素として、住文舎では北欧デザインの外観にこだわっているのです。
飽きのこない北欧デザインで機能美を追求します
住文舎では北欧のくらしの根底にあるテーマを考え、そこからデザインを考えています。そのテーマとは「自然や人に対しての謙虚さ」です。家は雨・風・雪や寒さ・暑さから、壁や屋根1枚で守らなければなりません。1年の半分は風を通しながら、もう半分は外部を閉ざして生活します。そのためにもシンプルで無理のない構造、無駄のない間取りや外観、そのことが北欧デザインのベースです。
北欧の家で今でもよく見られる「赤い家」にも意味があります。もともとは近隣で採れる木の板を外壁として張るだけでしたが、その板の耐久性を考え、スウェーデンの鉱山付近で採取した鉄分の入った土を木の外壁に塗ったことが、赤い外壁の最初と言われています。今では塗料が発展し、赤だけでなくさまざまな色を塗ることができますが、小さい頃から色について勉強している北欧で赤は特別な色として今でも多くの家に取り入れられています。植栽などの緑との相性も良く、相対的な補色としての役割があり、家の赤と背景としての緑、それぞれの存在を引き立たせてくれます。
シンプルで飽きのこないデザインはメンテナンスもしやすく、長きにわたり手入れをしながら維持しやすいのもメリットです。
北欧デザインを
日本の気候風土に合わせてアップデート
ひとくくりにアジアンデザインといっても、日本とその他近隣諸国とは差異があるように、北欧デザインといってしまうと、どの国のデザインを取り入れるかにより大きく変化します。その中でも住文舎では、古くからスウェーデンに見られる赤い木造の家をベースに、フィンランドがスウェーデンから独立した後の、そしてロシアの影響を受けたことでの「シンプルで機能美のある」デザインをベースに、外観としての北欧デザインを取り入れています。
外壁は「ボード&バテン」という伝統的な木の外壁の組み方を、不燃材であるサイディング材で表現。この張り方は光の当たり方で陰影が生まれることで、一色で塗った外壁でも立体的に見えます。
色として重要なポイントは白の使い方。白はすべての色をリセットする色。白がポイントで入ることで結界が生まれます。北欧デザインでは、屋根の一番先端部分(=軒先)と外壁の角に白が入るのがポイントです。軒先の白は屋根と外壁を視覚的に分け、外壁の角は正面や側面を分けてくれます。例えば、赤い外観、黒い屋根、ここに白いボーダーラインと白い窓が入ることで、立体感が生まれます。
北欧で見られる家は、軒の出が浅く、庇も少ないものが多いですが、夏のくらしよりも、長い冬に少しでも家の中に光を取り入れたいという考え方がベースになっていると思われます。日本で北欧デザインを取り入れる際は、間取りの特徴として、南側にリビングなどのパブリックスペースが多くなることから、オーニング含め庇や軒の出により日の光をコントロールすることが大事なポイントになります。