voice 6 人が集まる場づくり

【5年点検を終えてのインタビュー】

Q:
Nさんとは震災前からのお付き合いでした。旧家屋の外装リフォームや玄関ドアの交換などを行いましたが、その後、2011年の震災で建物の被害があり、解体の後、現在の家を建てられました。

 

以前から家を単なる「ハコ(=ハード)」ではなく、「くらし(=ソフト)」をイメージされておられましたが、今回改めて、そのあたりのお話を伺わせて頂ければと思います。

 

A:(以下ご主人)
この土地は、私が小さかった時に、引っ越してきました。結婚しても、この場所への愛着があり、家族で暮らしてきた旧家屋には、とりわけ親父の姿が印象的でした。

 

旧家屋の一階には通りに面したところに居間がありました。そこは親父の定位置。玄関はあったものの、居間からの出入りが通例でした。

 

居間に親父がいて、通りすがりの地域の人が窓をたたき。居間でお茶を飲んでいる、そんな姿が私の中の原風景です。旧家屋では一階の居間は親父の居場所、そして二階の部屋とベランダは私の居場所で、友人がよく集まっていました。そんな住み分けが、なんとなくですがあった気がします。

 

 

Q:
震災で新たに家を建てることになりましたが、その中でこだわったことは何でしょうか。

 

A:
もちろん前の家には愛着はありましたが、家としての「機能」は不便なことが多かった。風呂が寒かったり、扉が無かったり、近くに通るヘリコプターの音はうるさかった。そこは解消したうえで、改めて「暮らし」を再構築したかった。

 

機能を備えたうえで、それまでの暮らし【これまでの心地よい暮らしの雰囲気(ライフストーリー)】を残しつつ、これからの生活の中で、人との関わりを融合していくイメージがあります。

 

親父が居た場所、私が居た場所、その環境と、私の家族が新しい家で、どのように暮らすのか、そこにはこだわっていました。

 


(現在の一階居間の様子・かつての暮らしのように友人が集まるスペースに)

 

Q:
プランをするにあたって、各部屋の位置決めの前に、家族が集う場所、友人が集まる場所など、まずは生活スタイルについて詳しくヒアリングした記憶があります。

 

A:
そのことが「注文住宅」で建てる醍醐味だった思います。居場所や使い方だけではなく、これからの暮らし、人の集まるイメージ、また建てて1年後、5年後・・・と、家族や集う人の暮らしをイメージしながら連想し形づくる過程がとても楽しかったです。5年経った今でも、考えながら生活し、手を加えながら、少しずつ良さが増しています。

 

 

Q:
旧家屋の大きな二階ベランダを私も知っていますので、新しい家にも、同じ位置に、「外でも中でも使える空間」
を設けました。今でもどちらが正しかったのか、分かりませんが。

 

 

A:
引っ越してからしばらく、私たちもこの部屋だけが使い切っていないかと感じていました。しかし、不思議と妻や子供たちは、この場所を気に入っていました。それは、ここの場所にも、友人と過ごした思い出や心地よさを感じる空間があったからです。

 

ある時、簡易的なコーヒースタンドを自作してみました。ここは友人が立ち入らないプライベートな空間。今では妻が好きなコーヒーを出す特別なスタンドとして活用しています。

 

「Talk」 「COFFEE」 「STAND」 この言葉がキーワードです。

 

かつて親父の茶飲み話で、この場所に人が集まってきたように、このスタンドも友人が集まる場となり、いずれは自転車のタイヤを履き、人の集う場所に出向いていけるスタンドになることを夢見ています。

 

親父の背中を見て、育った子が、今は、牧田さん(注文住宅)と出会いかつての暮らしを充実させ、日々考えながら暮らし続けています。これが注文住宅で建てた一番の醍醐味だったと思います。

 

ありがとうございました。 2017年1月14日 遠見塚の家にて