まるでムーミンがいる森のような、不思議な空間が広がっている公園が、埼玉県飯能市にあります。
公園は武蔵野の森へとつながっています。まるでどこまでも公園が続いているように。
屋根の上には妖精たちが。ディテールの細かい演出です。
このアプローチを登っていくと公園に入ります。ゲートはないものの、異空間への誘いを感じる道です。
アプローチにはキノコ型をした足元照明が。小さな子どもにはちょっと気になる大きさです。子ども目線を意識した仕掛けが詰まった公園です。
階段を上りながら、滝の音を感じるアプローチ。水の演出が随所に見られます。
まるで蓮の葉の下をくぐってきたような庇。大人でも触りたくなります。
園内は鉄で出来た不思議なモニュメントも多く見られます。
園を回遊できる歩道。アップダウンは多いものの、ベビーカーでも回れるような優しい舗装。緑や砂利面も多く、作り過ぎない感が素晴らしいです。
要所々々にある照明とスピーカー。まるで巣箱のようです。
薪小屋、用具置き場でさえ、モニュメントの一つになっています。
こちらは園内の水を循環するため?の枡、周りを立ち上げ、井桁を乗せるだけで、まるで井戸に見えてしまいます。
小川を渡るための小さな橋。さつまいもを橋に見立てたようなスタイルをしています。壁には小さな穴が。
大人も子どもも間違いなく覗きます。
園内には芝生だけではなく、木陰で座れるスペースが多く、ピクニック気分で散策される方が多く見られます。
園内にはムーミンの絵は一つもありませんが、不思議とムーミンがいるような様子を体感することが出来ます。唯一ここだけは作家、トーベ・ヤンソンの資料コーナーがあります。
二階には小さな図書スペースがあります。園内の室内は全て靴を脱いであがります。
子どもたちは木の床に本を置き、読書にふけっています。
森を借景に贅沢な読書コーナーです。
公園の真ん中にある「きのこの家」 ル・コルビュジエの教会を思い出します。
中のつくりもしっかりしてあり、すさの入った珪藻土で仕上げてあります。小さい窓でさえ、左官職人の腕の見せどころです。
この家は、おもちゃ箱の中にいるような錯覚。多くのものが子どもサイズです。くぐってくぐって、またくぐる。
へびのようなアイアンの手すりも美しいです。
窓辺にはムーミン谷のフレーズが、さりげなく置かれています。
登ったり下りたりする階段の面白さを体感できます。会津さざえ堂のようなボリューム感。
一階は水辺へとつながっています。非常灯や危険注意の案内は最低限に。
園の遊具一つとっても、貼りモノやFRP製ではなく、しっかりとした素材でつくられています。本物をメンテナンスしながら普段使いしていくこの公園の姿が、多くのファンを増やしていく理由なのでしょう。
こんな切株、間違いなく座りたくなります。
(2018年5月7日)