只今仙台市内にて、3畳間ほどの建物を製作中。手づくり感満載の空間です。
今回は軒裏が見える構造ですので、化粧となる部分の屋根下地はスギの板材を貼りました。最近の建物は強度や施工のスピードアップを考え、この屋根下地は合板を使いますが、このようにスギの板を貼ると、見上げても綺麗です。手間がかかった甲斐がありました。
屋根の上から見たところ。最後に掃除をして、屋根業者さんにバトンタッチです。
ところで、新しく出来たホールなどで行う最初の演目を「こけら落とし」と言いますが、これはもともとは違う意味から来ています。こけらとは「杮」と書きます。昔は格式の高い建物程、杮という薄い木の板を何層も重ね張りして仕上げていました。油分のあるヒノキやスギを使い、木の撥水性から屋根の防水を期待していました。屋根が完成した際に、余ったり端材の杮をほうきで掃き落とすことが、「杮落し」でした。
現代とは違い、昔の杮葺きはそれは手のかかる作業だったと思いますが、それが完成した折には、達成感とおめでたい瞬間だったことでしょう。杮を落とすことは、建物のこれからの発展などを祈念する神事のような行為だったと思いますが、杮を落とさない時代になっても、使い方が変化し「こけら落し」が残されています。
端材のスギ板を掃除しながら、当時のこけら落としを少し思い馳せた日でした。
20191109