北海道に残る小さな戦争遺構(トーチカ)

北海道の道東・根室から襟裳岬までの沿岸部に、太平洋戦争時につくられた、小さなコンクリート塊があります。その名は『トーチカ』 数は80基足らず、となっていますが、これは発見されている数で、正確な数はわかっていません。

 

その一つ、根室の落石という場所にあるトーチカ跡を訪れます。ここは浜に降りられる場所。ここから歩いて向かいます。

 

 

少し硬めの砂浜をあるき、約25分。ようやく目的のトーチカ跡が見えてきました。

 

 

これが目的のトーチカ跡。なぜこんな塊が海岸線にあるかというと、戦争後半になり、いよいよアメリカ軍が日本に攻め入ってきた場合、陸路ではアラスカ方面から攻めてくるだろうと予想し、日本軍は、北海道の太平洋沿岸部に、このような射撃拠点を設けていました。中で待機し、小さな窓から銃口を向ける、という目的で沿岸部につくられました。

 

 

当時はこの丘の中腹に、海に向くようにありましたが、既に70年以上経過し、波による浸食でのり面が崩れ、浜に崩れ落ちてしまいました。戦時中につくられたこともあり、ましてや敵に見えにくい場所につくったこともあり、正確な数字や場所が特定されていないものもあります。

海岸線の浸食により、発見されることもある、いまでもミステリーの多い構造物です。

 

 

小さなのぞき窓をみると、中から狙われそうで、恐怖心も感じる窓です。結局は一度も使われなかった戦争遺構です。

 

 

物資も不足していた時代、それも交通手段が決して良いとはいえない沿岸部に、手づくりで現地で製作していることを考えると、大変な労力だったことは計り知れます。風化している石を見ても、ここにあるものをかき集めて造ったことがわかります。今は風景の一つとして、自然に戻りつつある姿。あるだけで何かを語っています。

 

 

こちらは根室市内の別の場所、桂木のトーチカ跡です。2基あり、沿岸部から少し入ったところにあることから、比較的きれいな状態で残されています。

 

 

天井の草が、時間の経過を感じさせます。トーチカが向いている方向は、納沙布岬。その先には北方領土があることから、迎え撃つ緊張感が今でも伝わってきます。

 

2020409 仙台発イチゴイチエのいえづくり

 

 

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