[北欧のくらし] フィンランドからロシアへ

島国であるイギリスは別として、ヨーロッパは地続きで他の国とつながっているイメージがありますが、北欧フィンランドは、主要な幹線で行ける「海外」は、実のところ、東の隣国、ロシアだけです。

 

2016年にフィンランドの首都ヘルシンキからロシアのサンクトペテルブルグに鉄路で廻った備忘録です。

 

ヘルシンキとサンクトペテルブルグとは、一日4往復、おおよそ3時間半で結ばれています。途中国境では出入国手続きがあり、検査官がパスポートチェックとして車内に乗り込んできます。

 

 

列車はこの「アレグロ」という専用特急。乗り心地もよく、ヨーロッパの国際列車としても引けを取りません。

 

 

国際列車という雰囲気よりは、首都から地方都市とを結ぶ、フィンランドらしい清潔感のある車内です。ところが、銃を持ったロシアの入国検査官が国境で乗り込んでくると、一気に空気が変わります(・・・と、感じただけかもしれませんが)

 

 

サンクトペテルブルグの駅は、日本の駅と違って改札口がありません。列車がホームにつくと、乗客は駅横につけられた迎えの車やタクシーに向かいます。あっという間にホームには人がいなくなりました。

 

 

サンクトペテルブルグの駅は、どこかに緊張感のある雰囲気。どこからか誰かに見られているような、古い言い回しですが、「社会主義の国に来たな。」という皮膚感覚がありました。少し体をなじませようと、駅の2階にあった軽食カフェでボルシチを食べました。

 

 

地下鉄に乗ってホテルに向かいます。この街も含め、ロシアの地下鉄は日本よりもはるかに深く、まるで地底につながっているかのような長いエスカレーターに乗ります。地下鉄が深いのは、冷戦時代のシェルターの役目も担っていたからです。

 

 

長いエスカレーターの先にあるのは、まるで宮殿と思えるような美術工芸あるれるホーム。駅ごとにしつらえが違い、地下鉄で廻るだけでも美術館にいるようです。

 

 

 

コロナ禍で、現在のところ、このアレグロに乗って、フィンランド~ロシアも観光客が自由に行き来できないようです。また、この列車が走る沿線は、第二次世界大戦の後、フィンランド領がロシア領に変わった地域です。隣国との戦いは、自国の領土にも影響するということを、島国で生まれ育つと、なかなか実感がわきません。

 

社会主義国としての第一印象も、少し慣れてくると、日常の風景が目に飛び込んできます。コロナ禍や戦争が落ち着き、芸術豊かなロシアの街に、また訪れることができるよう願っています。

 

20220323

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