ヌックぬっくこんにちは

「ヌックぬっくこんにちは」の住まいづくり。少し変わったタイトルですが、そもそもヌックとは?何でしょうか。語源はスコットランド語にあり、2,3畳くらいの小さな居心地の良い空間、という意味があります。では、何をする部屋なのか? 答えは何でもできて、何にもしない部屋。廊下でもあり、部屋でもある、あまりオープンな空間ではなく、プライベート性の高い場所。 そのようなスペースが、家の中心にあります。

 

タイトルには、ぬっく、と書きましたが、1階の主要な床には、温水で暖める床暖房が入っています。このヌックの足元もあったか、そこで、ぬっく(温)なヌック となっています。

 

オーナーであるIさんは、この地での建て替え。ご主人の小さかった頃の住まいの原風景が基本になりました。「家は大きさよりも、長い空間にあこがれる」という言葉は、子どもの頃に育った家での暮らしが基になっています。

 

また必要な場所は扉で仕切るとしても、なるべく壁により目線が遮られるように、という「扉ではない仕切り方」(=動線の工夫)を考えてプランしました。

 

この土地は東面に緑があります。春には山桜が咲き、秋は紅葉、借景として楽しめる自然があるものの、元々建っていた建物は、南面を向いていました。 今回はその借景を活かした家を建てたい。この土地の良さを知っている故のアイデアだったと思います。 2022年春から秋にかけての住まいづくりです。

 

当社では施工ごとに、オーナーさまの声と、施工紹介、および完成までの過程の3つの情報を整理しております。

ぜひゆっくりと完成までの経緯をご覧ください。

 

正面の様子。黒い三角の家に、エントランスを囲む白い枠。外観はシンプルなものの、素材を変えてアクセントをつけています。屋根から突き出た煙突は、リビングの薪ストーブのものです。

 

 

下の緑は、実はお隣さんの敷地。ここから見ると牧歌的に見えます。外壁はコロニアル。白い部分はスイス漆喰です。エントランスの屋根は、ホチキスの針のように、タテとヨコの太さを合わせて造りました。

 

 

玄関の様子。照明のシェードは銅の素地で出来ています。これから家歴とともに、表情が変化していきます。

 

 

玄関を開けると、リビング、シューズクロークへの、2つのルートがあります。まるでホールの角を欠いたような角から、リビングへとつながっていきます。リビングまでの短い廊下は、天井高が2.1m。低い天井は、幕間のような役割があります。

 

 

キッチンの横を通るとLDK。キッチンが家の中心にあり、景色が一望できる東向きになっています。LDは家具で構成されるというよりも、居心地の良い場所にあったものを、徐々に加えていくというイメージでプランしました。

 

 

キッチンから見える東側の窓、その先に広がる緑の丘。大きなキッチンはダイニングテーブルも兼ねています。

 

 

少し角度を変えて。キッチンの左手側のルートは玄関ホールへ、背面から続くのはヌック、アーチのトンネルをくぐります。その先にシューズクローク、そして玄関へとつながります。ここから玄関へと、ぐるっと1周できるようになっています。

 

 

キッチンに刺さっている柱は、この家の構造上とても重要な柱。これをのみ込ませてキッチンを作りました。造作らしいIさんのアイデアでした。

 

 

キッチンの天板は、モールテックスという樹脂モルタルで仕上げ。左官業者さんが仕上げたコテむらが残るものの、表面は意外とつるっとしています。

 

 

キッチンの上にある、オーダーメイドのアイアンブラケット。大きい三角と小さい三角は、時計の針のように、それぞれ別個に振ることができます。

 

 

リビングの壁についているブラケット照明。こちらはルイスポールセン・トルボーという品、Iさんセレクトです。こちらは本来は外部用照明。それを室内で活用し、質感を出しています。

 

 

薪ストーブの背面は、防火と強度を考え、下地はブロックで積み、仕上げとして天然石を貼っています。薪ストーブの熱が直接伝わりにくい場所に、上向きの照明が入っています。薪ストーブの土間もモールテックス仕上げです。

 

 

LDから2階へつながる階段。モールテックス仕上げ故に完成した、オリジナルの階段です。Iさんのアイデアで、シンボルになるような、柱とかがなく、まるで浮いているような階段、という言葉をもとに、考えて(×3)つくりました。アイアンの手すりは、階段のイメージを邪魔しないように、スッと細く、角のないようなイメージで仕上げました。

 

 

DKと階段の関係。階段の下をくぐるとサニタリーへつながります。階段の角にある下から照らす照明は、踏板に埋め込んであります。塗り壁はダイアトーマス、コテ模様が浮かび上がります。色は全体としてロンドンミストという薄グレー色、そのため、まるで大きな洞窟の中にいるような雰囲気があります。

 

 

玄関ホールとLDKとをつなく、天井高2.1mの廊下には、3つの部屋があります。このアイアンの扉は、まるで開放できる両開きの引き戸に見えますが、実は右と左とは違う部屋です。

 

 

向かって左側の扉を開けると、2畳弱の書庫があります。正面はベンチになっており、腰かけたり、横向きに座ったりできます。右側には同じ大きさな収納室があります。

 

 

 

 

3つ目の部屋がトイレ。トイレ使用時以外の時も使えるようにと、少し大き目なボウルと自動水栓がついています。カウンター下、右から2番目の場所にはゴミ箱が入ります。そのため扉もカットしてあります。

 

 

キッチンの背面にはヌック、その先にはシューズクロークや収納室へと続きます。足元は玄関と同じく黄色のモールテックスで仕上げています。玄関やシューズクロークは窓が少ない空間ですが、床が黄色いことで、パッとした明るさを感じます。

 

 

LDに面する階段の背面には、造作のサニタリー。天板はキッチンと同じくモールテックスで。こちらは明るいピンク色です。引き出し扉は北海道のエコシラ合板。クリア自然塗装で木目を出しています。

 

 

大きな鏡の背面に照明があり、顔を間接的に照らします。奥にはウォークインクローゼット。サニタリー、クローゼットと扉はありませんが、壁により視覚的に見えないよう間仕切りされています。

 

 

1階は床暖用のパインフロア。無垢のフロアは木の表情が一つ一つ違い、足の触れ方に温かみを感じます。

 

 

さて、2階のご紹介です。階段を上がると、まず目に入るのが3枚の扉。Iさんのご希望で、今回はドア枠がなく、まるで壁をくり抜いたような扉を、ということで、各扉を造作しました。

 

 

ハンドルもIさんセレクト。このハンドルは下げるのではなく、手前に引くことで扉が開きます。丁番と合わせてニッケル色です。

 

 

アイアン手すりは、表面がコークスによる焼け跡が残り、いかにも手づくり感が満載です。

 

 

2階洋室の様子。屋根勾配がそのまま室内天井に表れています。この部屋はパイン板張り天井。

 

 

景色の良い東面の壁に面する趣味部屋。照明は、本を広げたような形状の壁付け照明。全体として薄暗い雰囲気ですが、この先、スタンド照明など付け足しながら、徐々に完成できるようにしました。

 

完成する頃は、東側の窓からは紅葉の景色が広がっていました。田んぼや山に季節を感じることができます。

 

 

 

こちらは他の2階洋室の入り口。丸い入口を通り、左右に分かれます。

 

 

内側から見た様子。手前と奥に2つの部屋があり、照明の右奥にはクローゼットがあります。

 

 

2つの部屋は同じ大きさ。それぞれ手で開けられる天窓があり、屋根なりの天井になっています。

 

 

各部屋から、クローゼットの上にあるロフトへと梯子でつながっています。左側の廊下、手前の部屋、梯子でロフト、奥の部屋、と、こちらもぐるっと一周回れます。この間、扉が一つもなく、壁により目線が遮られています。

 

 

ロフトの頂上には、換気も兼ねての開口窓が。天守閣から1階が見下ろせます。

 

 

この角度は、1階ヌックに行くアーチトンネル、2階洋室に入るアーチ壁、2つが見えるベストポイントです。

 

 

東面から見た外観。シンプルな切妻屋根に煙突がある姿は、不思議と住文舎のロゴマークとシンクロしました。1階デッキ部分が外壁から入り込んでいて、インナーバルコニーになっています。

 

20221113

 

当社では施工ごとに、オーナーさまの声と、施工紹介、および完成までの過程の3つの情報を整理しております。

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