エネルギー基本計画の見直しで家が変わる?

先日の新聞記事で、2021年度エネルギー基本計画の見直しで、2030年度での再生可能エネルギーの割合を30%台後半まで上げる、という内容が一面に書かれていました。この中で特筆すべきは「再エネのために、一般住宅の太陽光発電の義務化を検討」ということです。

 

もちろんそれまでには幾重にもハードルがありますが、とうとう聖域でもあった、個人の屋根上までも、国が目を向けざるを得なくなったことがうかがい知れます。

 

脱炭素を目指すと個人の負担が大きくなります。現在のルールでは、再エネが普及すればするほど、電気代が上がるシステムになっています。

 

太陽光発電が一般住宅で普及しはじめた10年くらい前が、電力会社が買ってくれる電気料金がピークを迎え、それ以降は初期投資を回収できるまで、時間がかかるようになりました。つまりメリットが感じられなくなるとともに、それでは貯めて自分達で使おう、と考え方を変えたのが「太陽光発電+蓄電池」を新築時に組みこむ方法です。

 

家を持ちたい理由は様々ですが、省エネだけではなく、創エネを考えるのも、個人の選択としては「有り」の理由です。しかし義務化となると、一筋縄ではいきません。

 

住宅に適した土地が、全て日当たりを考えているわけではありません。地の利や学区が良かったりしても、南側に高い建物がある狭小地という場合もあります。義務化となると、日当たり良好の土地の高騰が起きるかもしれません。人の健康ではなく、発電に適した、という、少し不思議な理由で。

 

そして家の向きや屋根の形状に至るまで、太陽光発電に適したデザインが求められるかもしれません。家の外観バランスが悪くても、発電第一。これまたちょっと不思議な理由で。

 

また、持ち家が義務化されたとして、賃貸物件はどうなるか。「発電して、貯めて、使う」というメリットのあるサイクルに入らずに、電気料金の値上げに応じるか、という問題があります。

 

住宅に関しては、今までも、24時間換気の義務化、住宅瑕疵保険の加入義務化、など「絶対遵守」という条件は掛けられてきましたが、法律(法や条例など)を守っている限りでは、どのような家を建ててもよい、となっています。

持ち家一つみても、億を超える豪邸からローコスト住宅、和風から洋風、モダンに至るまで様々な「住まい手を表す鏡のように」造られている背景には、この「法のもとでの自由」が担保されてきたからです。

 

2030年度といっても、今からわずか9年後。その頃には、太陽光発電を上げる家が標準仕様になっているのかもしれません。初期購入としてのイニシャルだけではなく、蓄電池の更新など、ランニングにもお金がかかることにより、ますます家が高いものになる可能性があります。

 

再生可能エネルギーのシェア拡大とともに、マイホーム離れが起きてしまうと、私たちの業界は一層厳しくなることでしょう。しばらく国の動きを注視する必要のあるニュースでした。

 

20210516 仙台発イチゴイチエのいえづくり