voice14 それぞれの色に物語があります。

2021年5月に完成した「油絵が時をつなぐ家」 1ヶ月点検の日にあわせて、オーナーであるSさんに、様々なお話を伺いました。

 

Sさんのお宅の北側には小さな土手があり、川の向こうには大きな空が広がっています。Sさんにとっては築50年程の家を取り壊しての建て直しになりますので、この景色にはなじみがあるはずでしたが、前の家と「見る向き」を変えたことで「あらためてこの景色の魅力に気付かされた」とのことでした。

 

当社では施工ごとに、オーナーさまの声と、施工紹介、および完成までの過程の3つの情報を整理しております。

ぜひゆっくりと完成までの経緯をご覧ください。

 

Q:

お住まいになられて約1ヶ月が経とうとしていますが、いかがでしょうか。

 

A:(Sさん)

まだまだ住んでいる感じがしないです。引っ越しの際、殆ど何もない状態でしたので、調味料から買い直している状態です。

 

 

Q:Sさんにとっては、昨年の秋までお住まいだった場所に戻ってきたことで、あまり変化がないように見受けられますが。

 

A:

いえ、前の印象とはまったく変わりました。まるで違う場所で家を建てたような感じです。この周りは(土地区画整理があり)急に住む方も増え、道路も変わりました。その結果、車も混むようになり、通勤ルートも変わりました。小さいお子さんも増え、今までの地域が急に元気になったように思えます。車の運転も、以前よりさらに気を付けるようにしています。

 

前の家と比べて、家の向きが変わったことも大きかったと思います。新しい家は北側に向いている窓があり、そこから土手が見えます。以前も北側には窓がありましたが、そこは台所で曇りガラスでしたので景色は見えませんでした。

 

ちょうど北東の方の壁に西日があたり、その反射が我が家の北側を照らします。そのため、北側とはいえ意外と明るい印象です。

 

永年住んでいましたが、見える方向が違うだけで、まったく別の印象を受けました。また景色が良いと、東西南北の向きは気にならないことにも気付かされました。

 

 

 

Q:

「こうしておけばよかった」と思える点がありますか。

 

A:

本当の希望は、もっと小さな家を造りたかったです。この土地の資産価値も上がり、将来のことを考えると、ある程度親族に残せるような家(=大きさ)が大事かな、と思うようになりました。

 

平屋は最初からの希望でした。2階からの景色も捨てがたかったですが、住みやすさなどを考え、平屋の希望は変わりませんでした。

 

(土地区画整理で)周辺環境が大きく変わり、周りの家も増え、新しくなっていきました。その中で築50年近くの家に住んでいましたが、私としては両親が残してくれた建物ですし、まだまだ住めると思っていました。これからも大事に住もう、という考えから3年前にはトイレをリフォームしました。

 

ところが、周りの環境が急に変化したことで、自分自身の将来のことも考えるようになりました。私としては、もっと利便性のあるマンションへ引っ越し。あるいはもっと働く口のある東京で暮らす、など様々な選択を考えました。しかしながら、この土地建物を残して、親族が手にした際の処分は大変だろう、という点が気になり、家を建て直す決断になりました。

 

 

両親のものもたくさん残っていましたので、建て直すとなると、整理することになります。それは私の仕事だ、と思い立って「今がそのチャンス」と決心し片づけが始まりました。

 

最後まで悩んだのが「母の着物」です。その着物は、私が母にプレゼントしたものです。母が病気になり、元気になった際に着てもらいたいと思っていましたが、結局袖を通すことはありませんでした。いろいろ悩んだ挙句、気持ちに整理をつけ、処分したとたん、肩の荷がすっと楽になった感がありました。気づかぬうちに何かを背負って過ごしていたのかもしれません。

 

 

 

Q:

家づくりを始めるにあたり、私とSさんとの共通の友人Iさんからプレゼントされた、丸いテーブルの経緯をお聞かせください。

 

A:

Iさんが丸いテーブルが欲しい、ということで、私も一緒に立ち会いました。とてもしっかり作られたテーブルに出会いましたが、脚の長さが生活に合わないことで、脚を短くし座卓のような形になりました。

 

その後Iさんは、引っ越しの機会に、新たな部屋ではこのテーブルが大きすぎたようです。その結果、テーブルを買い直すことになり、座卓状になった丸テーブルは我が家で使うことになりました。

 

せっかくIさんより(住文舎を)紹介してもらったこともあり、この丸テーブルをもう一度脚を作り直し、ダイニングテーブルとして活かせないかと思い、家の解体前に引き上げていただきました。

 

 

丸テーブルのリメイク、そして、その雰囲気にあう木の椅子を準備する、ということになり、nokkaさんに依頼しました。椅子は2脚ずつで脚の長さが違います。使う人にとって椅子をチョイスできるようにしました。木の大きな座面は座りやすいです。

 

他のハウスメーカーにお願いしていたら、もしかするとこのテーブルは処分していたかもしれませんが、テーブルが人の縁をつないだのでしょうか。

 

 

 

 

Q:

Sさんの暮らしには2枚の油絵も重要なポイントですね。

 

A:

ダイニングに飾った絵は、父が仕事先の大分で描いたもの。私が生まれる前に描いたようですので、家には永らくリビングにあった絵で、私も見慣れていました。

 

 

玄関の絵は、当時中学生だった兄が、父の絵を模写して描いたもの。2枚は本当にそっくりでした。父のオリジナルと、それを模写した兄の絵。2枚を見比べ、兄の絵を飾ることにしました。兄はもう絵を描いていないんですが。

 

私が過ごした家には、壁があり、カーテンがあるのと同じ感覚で、絵がありました。絵は特別なものではないのですが、必要不可欠。建て直しをきっかけに、何もかも処分しましたが、この絵は大事な存在です。この度、額装をし直し、きちっとした状態で掲げられて本当に良かったです。

 

 

 

Q:外観のお話をお聞かせください。

 

A:外壁は白で、屋根は緑で、と順序だてて決めましたが、全体を想像したとき、「あ!アンの家だ。(グリーンゲーブルズ)」と思って一気にイメージが湧きました。雨どいも緑になり、とても気に入っています。平屋ですが、雨どいや窓など、不思議と縦が綺麗な印象があります。

 

 

 

 

Q:

内装の色や照明についても、少し暗めがお好きな印象でしたが。

 

A:

もともとの家の壁が、木でできていて少し暗めでした。それに慣れていたこともあったのだと思います。床が茶色いパイン、これで壁も白だとカントリー調が強くなってしまうな、と。そこでメインは薄いグレー。一つの洋室は淡いグリーンにしました。

 

照明も、最低限必要な場所に設け、必要になった場所にはスタンドなどで足そうと思っていました。明るい部屋よりも夕闇が感じられるようなイメージです。この明るさで1ヶ月経ちましたが、暗いとは思いませんでした。

 

 

引っ越して生活が始まり、小さな照明を買いました。お気に入りの籠に入れて持ち運びができるのですが、この光が落ち着きます。手元でちょっと欲しい時に使えるあかり。今は電話カウンターの上が定位置です。

 

 

 

 

Q:

そして差し色となる丸い下がり壁の先の部分だけ、「赤」を選ばれました。正直なところ予想外でした。

 

A:

赤やピンクは昔大好きだった色で、この色の服や小物をたくさん持っていました。父がリハビリ中で病院に入院していた際も、看護師さんが「人は赤が最後まで見える色です」ということで、自分のベッドが分かるようにと、赤いリボンをつけてくれました。赤いティッシュ箱も枕元においてありました。私がお見舞いに行く際も、赤い服を身に着けて行ったのを今でも思い出します。

 

私にとって赤は思い出もあり、元気になる色。昔の友人が遊びに来てこの壁を見ると、きっと「らしいね」と言うと思います。

 

この赤はくすんだ色ではなく、赤ピンク色。塗り壁ということもありつや消しでシックに仕上がり、イメージ通りの色でした。

 

 

 

A:

色ということで他に気に入っているのが、玄関の青いタイルです。特に雨が降って濡れている時が本当に綺麗で、テンションが上がります。そこから続く洗い出しの土間も雨の日は綺麗です。雨の日がそのように感じるとは思いもしませんでした。

 

青いタイルは最初はバルコニー用として選びましたが、実は父が描いた絵の中に、大分の海があり、その色と同じ色でした。それは偶然後で気付きましたが、無意識のうちに好きだった色なのかもしれません。

 

 

 

 

Q:

Sさんの印象は、設計から工事中に至るまで、お決め頂く内容への決断がとても速かった印象です。

 

A:

設計士さんから、実際に造る職人さんに至るまで、つくる仕事の方には信頼しておまかせしようと思っていました。最初に住文舎にお伺いした日には、既にお願いする前提でお話を聞いていました。検討し「よし、決めた」となれば、後はその道の専門家の方々に、信頼して最後までお任せ。今までも様々なことをそのように決めてきました。

 

 

-本日は有難うございました。

 

[2021年6月24日 ご自宅にて]

 

 

 

当社では施工ごとに、オーナーさまの声と、施工紹介、および完成までの過程の3つの情報を整理しております。

ぜひゆっくりと完成までの経緯をご覧ください。