ウッドショックから見える未来

コロナ禍の世の中も1年半が過ぎようとしています。そんな折、あまり一般のニュースには取り上げられていない事象が、日本の木造住宅業界に襲い掛かっています。

 

「ウッドショック」 1970年代初めに起こったオイルショックをひねった言葉ですが、ウッド、つまり構造木材が極端に不足しています。

 

厳密に言うと、上の写真で横架材と呼ばれる梁や桁にあたる部分、その中で少し赤みがかった材料「ベイマツ」材を中心に不足しています。

 

ベイマツ=米松 アメリカの西海岸エリアから供給される材料で、とりわけ曲げ強度に長けていることから、柱よりも横架材に使われます。

 

ウッドショックがなぜ生まれたか。一説には、コロナ禍により、アメリカでも巣ごもり需要で家を建て替えるブームが起きていることから、日本への供給が少なくなっている。先日のニュースにあったようにスエズ運河が一時ストップしたから(=これは違うと思いますが) 様々な要因が重なっていることは間違いなさそうです。

 

「ない」となると大手商社やハウスメーカーは買い占めに走ります。そうなると、ますます不足する、そして材料が高騰します。そう、昨年のマスク不足と同じ悪循環に入ります。

 

海外に頼っているワクチン同様、木材においても外材に頼っている割合が高い日本の住宅。急に国産のワクチンが作れないのと同様に、国産材の見直しが起きても、すぐにマーケットのシェアが変わるわけではありません。しばらくは高騰する市場に振り回されることになるでしょう。高くても材があれば買わざるを得ないという状況が続くでしょう。

 

しかしながら、ここからがポイント。 10年前から見ても、グラスウールが足らない、(震災により)合板、石膏ボード、コンクリート、鉄筋、ありとあらゆる家を構築する根幹のものが不足している世の中を、住宅業界は経験してきました。

 

その都度、沈静化して何事もなかったように見える一方、新しいモノや代わりになるもの、違った方法が生まれてきています。

 

柱にしても、私がこの業界に入った頃は、ホワイトウッドの集成材が主流で、かえって高くつく国産の木を使う方が、狂いや精度を考えると怖くて使えませんでした。

 

ホワイトウッドは主にロシアを中心とした針葉樹ですが、あるとき関税のシステムが変わり、日本に丸太材が入りにくくなった時期があります。つまり外材の方が高くなる(運賃を考えると当たり前のことですが)ようになりました。

 

そこで日本の木が改めて見直されるようになり、先ほどの「狂いや精度」を補うために、一本の木による柱ではなく、ホワイトウッドの集成材の技術を活用した、スギの集成材が市場に出回るようになり、今では安心して普通に購入することができるようになりました。

 

ウッドショックは間違いなく落ち着く時が来るでしょう。その先に、国産材による横架材が、柱同様シェアをとる時代が来るかもしれません。日本の山は、戦後に植えられたスギやヒノキの伐採時期を迎えています。畑は沢山あるのです。伐採し、しっかりとした製品化し市場に出す、山はまた数十年後を見越した苗木を植える。パイロットファームのように、どのようにして省力化で生産効率が上げられるか、出来ることは沢山ありそうです。

 

ワクチンや食料同様、日本の木材にとっても世界市場に振り回されにくい商品開発の良いチャンスが、今なのかもしれません。

 

 

20210422 仙台発イチゴイチエのいえづくり